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遠い街へ  (指原莉乃)

指原莉乃の歌。

http://www.youtube.com/watch?v=zIpI5TywmWY

この曲は彼女が所属するアイドルグループで作詞を行なっている秋元康ではなく、指原莉乃本人が作詞している。

彼女はとある理由で博多に移籍したのだが、その後の歌である。彼女の所属するグループのスピンオフユニットの劇場盤CDに収録されていて、入手も難しい。というか、一般の人はそれを買おうとはしないだろう(ちなみに、Amazonなど音楽配信においては販売されている)。

そのため、この曲を聴くのはけっこう難しく、ちょっとコアめな、ファン動画みたいなところを引っ張るしかなかった。おそらく知名度はほとんどないんじゃないかと思う。

すっと聴ける歌なのだが、言葉の選び方のセンスはすごく高いものを感じる。

1番では東京から博多に移った時の心情を語っている。そして2番は、家族への想いだ。

「生活に慣れない」という表現だけで、遠くに来たことがよくわかる。電気をつけたままだったんじゃないか?とふと考えてしまうこと、それが、自分の部屋も含めて、毎日当たり前のようにすることがまだ当たり前ではないことを示している。

「帰りたいとは思わない」という言葉、「強がっているだけ」という言葉が、本心は強い孤独を感じていることをにじませている。不安なのは、初めての一人暮らしのせいだ、と言う。それがそうでないことは、容易に察しがつく。

何度もメールを読み返して何度も涙を流す。涙を流す理由は、遠くに来たのが望みではないからだ。それはつらい体験であり、多くの友人との意図せぬ別れを含んでいたからだろう。

「テストの点や夕食の話をしていたころが懐かしい」のだ。今は、そんなことを話すような状態ではない。でも、本心からつらいとも言えない。親にさえもだ。

切ない歌のように思えて、直接的な描写は涙を流していることしか詞からはわからない。この歌の世界観は、とても抑制がきいている。ほとばしるような感情の流れではなく、抑制された悲しみの世界。

どこにでもあるような歌のようにもきこえる。でも、こういう歌はそうでなければいけない。大きく飾らず、悲しみを押しつけず、淡々と世界を描画しなければならない。

それほど感動を狙わない素朴な言葉でつづられるこの歌は、メロディーラインのストレートさも含めて、20才の女性の世界を描写した、優れた作品だと思う。

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