ガチでなければバラードは美しくない
バラードが美しく響くには、その歌い手とかその曲の作り手の生き様が鮮明に伝わらないと厳しい。
ガチなものが一番美しい。私たち聞き手に提示されるその物語が、どんなものであっても、それにフィクションがどのような割合で混じろうとも。
完全な第三者が、最大公約数の表現で狙って作ったバラードは結局のところ、心を打たないんだと思う。
今の世の中は、完全に架空のものは通用しにくくなっている。今、この時を生きる人の生き様を、良くも悪くも切り売りしなければ共感が得られないんだと思う。
大事なメッセージは一つなんだと思う。「私はこう生きてきて、こんなことを感じてる。みんなはどう思うんだろう? 共感できる人はついてきてほしい」
偶像を売ることが仕事であった人々でさえ、もう夢の世界だけを人々に与えることはできない。ほんとうに仕組まれた夢に、私たちは夢をみることがもうできないのだ。
何もないところからスタートして、試練の末に何かをつかむ。そしてつかんだものが、本当に自分が望んだ夢そのものではないかもしれない。それは通過点でしかないから満足できないという意味かもしれないし、自分が望んだものと違った形をしていたという意味かもしれない。
これは人生の形だ。運命にどうしても動かされる私たちそのものでもある。現実は甘くないから、どんなに権力があっても実績があっても、この物語を作ることはとてつもなく難しい。
ショーではある、間違いない。でも、やらせにはできない。
ショービジネスも難しい世の中になった。でも、現実を見せるのが、その大きさの夢になる時代が来たということだろう。そのほうが、私たちの人生に近いのだから。
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