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β細胞のふるまい

ちょっとよくわからないことがあるのだ。膵β細胞からのインスリン分泌には明確なbiphaseが存在する。これは遊離膵島を用いた実験でも、Isoglycemic clampの臨床試験でも示されている。

これは分子的にどうやって果たされているんだろう。Pedersenの論文を読んでもよくわからないのだ。

血中のグルコース濃度を定常に保ったときと、変動させた時に明らかなレスポンスの違いがあるが、これを分泌に反映させている分子的な機構がそもそもあるのかどうかわからない。ないんじゃないかとさえ思う。

なぜかといえば、定量的にはほとんどこのプロセスを理解できたと思っているからだ。しかしそれは、「分子的な実体として」β細胞に存在するのではなくて、あくまでも「挙動の仕方」としての存在のように思える。つまり、タンパク質の話ではなく、パターンの話。思考と同じかもしれない。反応の順番とか、あくまでも細胞を静的にとらえてもわからない話。そんな気がする。

基本的な分泌機構は、β細胞内のグルコース濃度増加をトリガーとするパターンと、インクレチン受容体によるcAMPの増加である。が、この分泌パターンはグルコース濃度増加のパターンと呼応しながら複雑なふるまいを示す。

これはβ細胞がそもそも用意している分泌用のインスリンストックのタイプの違いから生じているが、やっぱりこれは数学的なふるまいといわざるをえないように思える。

つまり、生命現象にはスナップショットでは考察しきれないものがあるということを、モデリングにおいては特に感じるということだ。つかめないものをつかもうとしているような研究というのは、なかなか苦しい。

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