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S-PLUSの本

2002年の夏の話だ。

私は神田の紀伊国屋書店にいた。母集団解析においては、S-PLUSが重要な役割を果たしていることを知った私は、書店でS-PLUSの本を探していた。

統計の本のコーナーを探すと、無愛想な本が目に入った。S言語とか、Sと統計モデルといった本だ。今でもおそらく販売されているはずだが、これは洋書の和訳であって、かつS言語に通じていなければ読むことは困難だった。私はそれを書店で見て、全くといっていいほど理解できなかったと思う。

タイトルからしてもっともわかりやすかったのが、ヴェナブルズとリプリーの書いた本だ。この本は、言語について詳細に記載するのではなく、あくまで統計解析を遂行するために必要な実務的な側面から書かれていた。何よりも、非線形混合効果モデルの章が存在していた。

ヴェナブルズ&リプリーは、その後しばらく私の愛読書となった。が、この頃はその本の適切な読み方を知らなかった。恐ろしいことだが、私はS-PLUSをまだコマンドラインから動かすということがほとんどなかった。S-PLUSでXpose 3を動かすことはしていた。その頃のXposeはClassical Xposeと今では呼ばれるものであり、メニューから実行したい機能を選択することで成り立っていた。だからSのコードをろくすっぽ書けなくても、それだけで実行できるのだ。

よって、私はヴェナブルズ&リプリーを購入して読んではいたが、Sのコードを実行するということはなく、そこに書かれている統計的な記述や原理を読んでいるという珍しい読者だった。これは、決してまともな読み方ではない。

しかし、この頃に覚えたことも確かに多い。少しでも混合効果モデルを理解する手掛かりがあるのかもしれないと思い、書籍の全体を読んだ。その結果、主成分分析や生存時間分析、決定樹、線形混合効果モデルといった方法を知ることになった。

Discovery PKのデータ解析にS-PLUSを使うかもしれないという機会が訪れたのが、このちょうど1年後だ。しかし、そのグループでは私はDiscoveryデータを解析するという立場は推奨されなかった。なんとなくそれをやっている人が他にいたし、私には別の役割が期待されるようになったのだ。この領域ではSPOTFIREというデータマインニングのための視覚化ソフトと、S-PLUSあるいはRの連携が行われていた。私はここのデータ解析をやろうかと思ったのだが、政治的な意向でそれはかなわなかった。

私は今でも、紀伊国屋でこのヴェナブルズ&リプリーを手に取ったときのことをよく覚えている。蛍光灯の明かり、そのときの空気。私は大学受験の浪人時代を御茶ノ水で過ごしたので、この紀伊国屋にはよく寄ったときがあった。その記憶と重なるのかもしれない。

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