« PFIM | トップページ | 検出力の講義 »

Slipping Through My Fingers  (ABBA)

1970年代から80年代初頭にかけて活動し、ポピュラーミュージックを完成させたといわれるモンスターバンドABBA。二組の夫婦で構成されているこのスウェーデンのバンドは、当初、Waterlooのヒットで一発屋だと思われていたが、SOS、ついにはDancing Queenのヒットによって世界的なバンドに成長した。

ABBAの人気は今なお世界的に高い。欧州、オーストラリアにはファンが多く、日本でもいまだに聴きつがれている。

ABBAの曲は親しみやすいシンプルなメロディーが特徴であるが、彼らの曲は非常に長持ちする。飽きがこないのだ。

Beatlesにも同じことがいえるのだが、Beatlesの楽曲は非常に特殊である。あれは英国の民族音楽の部類に入るほど実験的な楽曲なのだ。それと対比するとABBAの曲の普通さが際立つ。レコードの売り上げは3億枚を越えており、これが現在に至るまで、世界で最も売れたバンドの一つなのだ。

ABBAは70年代後半にヨーロッパを席巻したディスコミュージックも多く提供している。日本人なら、ややキワモノっぽく思えるが、ドイツのジンギスカンというグループも知っているだろう。彼らは同時代である。

ABBAは人口1000万もいない、スウェーデンからのバンドである。アルトを担当するフリダは父親がノルウェーからスウェーデンに移ったはずだ。東京都の人口にも満たない国から世界的なバンドがでるということもあるものである。スウェーデンはこの時期まで音楽については先進的な輸出国だったともいえる。

さて、ABBAの楽曲の中でもひときわ美しいのはこれである。

http://www.youtube.com/watch?v=cSCi7kCXKDA&feature=related

ABBAは後期になると特に情感のこもった楽曲を書くようになる。明るさだけでなく、寂しさや美しい別れも歌われる。彼ら自身が結婚し、子供ができ、そして別れる。人生の様々な画面を切り取ったかのような楽曲を歌う。ボーカルのアグネッタの高い表現力と、フリダのハーモニーはABBAの名曲をいくつも生み出した。

Slipping Through My Fingersは、成長していつかは巣立っていく娘の姿に愛と寂しさを覚える母親の歌である。

Sleep in our eyes, her and me at the breakfast table
Barely awake, I let precious time go by
Then when she's gone there's that odd melancholy feeling
And a sense of guilt I can't deny
What happened to the wonderful adventures
The places I had planned for us to go
(Slipping through my fingers all the time)
Well, some of that we did but most we didn't
And why I just don't know

Slipping through my fingers all the time
I try to capture every minute
The feeling in it
Slipping through my fingers all the time
Do I really see what's in her mind
Each time I think I'm close to knowing
She keeps on growing
Slipping through my fingers all the time

眠そうな顔で彼女と私は朝食のテーブルにつく。
まだほとんど目が覚めないうちに、私は大切なときをやりすごしてしまう。
彼女が学校に行った後で、私にはおかしな憂鬱さが残され、
なにか後ろめたい気持ちを否定することもできない。
忙しさの中で、一緒に行くはずだったたくさんの旅も心の中だけ、
いくつかはかなったけどまだほとんど手がついてない、そのわけもわからない。

毎日の瞬きほどの時間も何とか捕まえようとするけれど、それは私の指をすりぬけて、
心の中の思いも滑り落ちてしまう。
私は本当に、あの子の心がわかっているのか、
わかるような気がしたとき、またあの子は大きくなっていく、
私の手をすりぬけて。

|

« PFIM | トップページ | 検出力の講義 »

音楽」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Slipping Through My Fingers  (ABBA):

« PFIM | トップページ | 検出力の講義 »